水出しコーヒーといえば、喫茶店のカウンターで化学の実験器具のようなガラス器具からポタポタと一滴ずつ水が滴り落ちてコーヒーを抽出している光景を想像する。
お湯ではなく水を用いて、数時間から数十時間ゆっくりと時間をかけてコーヒーを抽出する方法。
実は喫茶店にあるような専用器具がなくても、家庭で作ることができる。
私も毎年夏が近づくと、水出しコーヒーを夜に仕込んで朝に飲むという習慣ができるんだけど、作っていて気になることがある。
それは常温で抽出するのか冷蔵で抽出するのか。
思い返してみれば、喫茶店では店のカウンターなんかにおいて抽出しているから常温抽出だよなーなんて思いながら。
コーヒーは抽出するお湯(水)の温度によって成分の溶け出しやすさが変わるもの。
それならば、水出しコーヒーでも常温か冷蔵かによって風味が変わるのでは?と思った。
ということで、今回は常温抽出と冷蔵庫内での抽出の比較を行っていく。
濃度計を用いて濃度の比較、実際に飲んでみての香りや味の比較を行っていくのでよければ。
実験条件・方法
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家庭で手軽に作ることができる水出しコーヒーとして、浸漬での抽出方法を採用する。
作り方は簡単。コーヒー粉を水に浸して一定時間が過ぎたらフィルターで濾すだけ。
「抽出温度による濃度や風味の違い」を検証するので、それ以外のコーヒーの風味に影響を与える要因ついては、条件を揃えるようにする。
詳しい実験条件は以下の通り。
固定する条件
コーヒー豆 | ウガンダ ナチュラルプロセス(中煎り) |
豆量 | 40g |
挽き目 | 中挽き(コマンダンテ 29クリック) |
水量 | 500ml |
抽出時間 | 8時間 |
変化させる条件
水温 | 常温と冷蔵での比較 |
抽出手順
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実験結果
始めに伝えておくと、明確な違いが出た。
「水の温度」を除いて同じ条件で抽出を行ったにもかかわらず、香りや味のバランス、濃度感の全く違うコーヒーが抽出された。
つまり、水出しコーヒーを作るにあたって水温の違いは風味に多大な影響を与えるということ。
自分好みの水出しコーヒーを作るにあたって、どちらの抽出方法を採用するべきか、参考になればうれしい。
まずは、濃度の違いから。
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正直、濃度計で計測を行う前から肉眼で色味の違いが見て取れた。
カメラ越しだと若干わかりにくいかな?
常温抽出したコーヒーの方が色味が濃いから、濃度も濃いんだろうなと予想できる。
実際に濃度計で計測してみるとハッキリと濃度差があることが証明された。
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コーヒーの濃度における「0.1」の差は誰が飲んでもわかるくらいに違いを感じられるから、この差はとても大きい。
この実験のサンプル数が一つだけ、という問題はあるけどこれだけ差があると風味は全く別物になると考えられる。
正直なところ、実験前はこれほど濃度差が出ると思っていなかったのでびっくり、、。
続いて風味の違いを。
まず、香りは明らかに常温抽出の方が豊かに感じられる。
冷蔵庫抽出のコーヒーは、「全く香りが感じられない」ってほどじゃないけど香りは控えめかな。
味に関しては濃度差に出ていたように一口目からはっきりと違いがわかる。
冷蔵庫内で抽出したコーヒーは、全体的に軽やかで酸味がはっきりと感じられる。雑味が少なくてスッキリ、ゴクゴク飲める感じ。
常温抽出の方は、味わいが複雑でそのぶん酸味が丸く感じられる。酸味が強調されすぎず、まろやかになってる印象。スッキリだけど軽すぎない、余韻が程よく残る感じかな。
以上が私が感じた印象。
今回はっきりしたことは、水出しコーヒーを作るにあたって抽出時の水温の違いは風味に多大な影響を与えるということ。
だから、もっと濃度感のあるコーヒーにしたいとか、軽やかで飲みやすくしたいとか、そう思ったときに水温に変化を加えるという選択肢は一つの手だということを覚えておくといいかも。
最後に
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今回の実験では、水出しコーヒー抽出時の水温の違いによって風味に大きな違いが見られたけど、「どっちが優れている」というものではないことは覚えておいてほしい。
結局のところ、好みは人それぞれだから「ある人にとっては常温の方がいい」、ということはあってもそれがすべての人に当てはまるものではないことをお忘れなく。
大事なことは、水出しコーヒーを抽出するにあたって、水温の違いが出来上がるコーヒーの風味に多大な影響を与える、ということ。
自分の好みに合わせて、どっちの抽出方法を採用するの検討してほしい。