【レビュー】粒度をコントロールするマニア向けツール。KRUVE(クルーべ)の『SIFTER BASE』

Coffee Tools – 周辺器具 | 2024.10.25

【レビュー】粒度をコントロールするマニア向けツール。KRUVE(クルーべ)『SIFTER BASE』


美味しいコーヒーの抽出においてグラインダーの性能、ひいては粒度の均一性は非常に重要視される。

器具ごとに適切な粒度があったり、微粉はあまりよろしくないと言われるのはその最たる例だろう。

だからこそ、今回レビューする「SIFTER BASE」のような、コーヒー粉の粒度を揃えるための器具があるわけで。

というわけで今回はちょっとマニアックな「粒度をコントロール」するためのコーヒー器具をレビュー。

Contents

外観レビューと付属品

「KRUVE」はコーヒー体験を進化させるべく製品をデザインするカナダの企業。

これから紹介するSIFTER BASEのほか、コーヒーやエスプレッソ用のグラスを手掛けてる。

マニアックだから家庭でコーヒーを楽しむ層にはあまりなじみがないかもしれない。

今回紹介するSIFTER BASEも、美味しいコーヒーを淹れるために必要かと問われれば私はNOと答える。金額も決して安価とはいえない。なくても十分美味しいコーヒーは淹れられる。

だけど、コーヒー好きのマニアにとっては面白い器具だと思う。コーヒーの味わいの表現を大いに広げる手助けをしてくれるツールだ。

それではさっそくSIFTER BASEを紹介。

初見ではコーヒー器具とは思えない一風変わったシルエット。

サイズもそれなりにあって存在感がある。

3段になっているのがミソで、SIFTER BASEが「微粉を取り除くツール」にとどまらずに「粒度をコントロールするツール」である所以。

本体ケースのほか、粒度をコントロールするための「グラインドシーブ」が付属している。このグラインドシーブ(フィルター)を本体に2種類セットすることで、コーヒー粉の粒度をコントロールできるという仕組み。

フィルターはそれぞれに穴サイズ(メッシュ)があって、どれくらいの粒度で選別したいのか、目的とする粒度によって使用者の判断で使い分ける。

ちなみに購入するとフィルターは5種類(サイズ:300,500,800,1100,1400μm)同梱されている。さらに細かく粒度をコントロールしたいマニアさんは別売りのフィルターを追加購入する必要がある。

SIFTER BASEでできること

SIFTER BASEを活用するうえで求める役割はやはりこの2つ。

  • 粒度のコントロール
  • 微粉の除去

コーヒーを抽出するとき、粒度が細かければ成分の移動が速くなるし大きければ成分の移動は遅くなる。それでは粒度が不均一で細かい粉・大きい粉が多数混在するとどうなるか。

未抽出・過抽出が起こり、風味のバランスを損なうことになる。そも、極端に粒度がバラバラな状態ではプロのバリスタでも狙った風味を引き出すことがかなり難しい。

そういった状態にしないため、また雑味を抑えまとまりのある風味を引き出すためにSIFTER BASEが活躍する。

粒度の均一性を上げることで、成分の移動速度の均一性を上昇させる。そうすると、過抽出・未抽出が起こりにくく雑味の少ないクリーンなコーヒーが出来上がる手助けをしてくれる。もちろん、微粉を除去することで近年重要視されているクリーンなコーヒーに近づくだろう。

少し話が逸れるがこのツールを手にしたとき、金属フィルターや水出しコーヒーを抽出する際に発生してしまうカップ底にたまる微粉。ああいった微粉による問題を解決してくれるのでは?と思った。

実際に試していないのでわからないが、、、。

実際に使ってみる

早速コーヒー粉をSIFTERで選別してみる。

今回は上層に1100μmメッシュのフィルターを、下層に350μmのフィルターをセット。

この場合、上段に1100μmよりも大きな粉が残り、中段に1100μm~350μmの粉が、下段に350μmよりも小さな粉(微粉)が落ちてくることになる。

フィルターの選択は自由に。

大きすぎる粉、小さすぎる粉、両方を取り除きたいなら2枚のフィルターを、微粉だけ取り除けばいいという人はメッシュの細かいフィルター1枚だけセットしてもいい。取り除く粉のサイズも自身の好み次第。

フィルターのセットが完了した本体に、今回はハンドドリップ用に挽いた粉を投入、ふるいにかける。

こんな感じで目に見えてわかるくらいに粒度別で選別されている。

ちなみに今回は私がよく使うコマンダンテで24クリックで挽いた粉を使用。

アップにするとよくわかる粒度の違い。(左:1100μm~350μm 右:1100μm以上)

こんな感じで粒度別に選別できる。

もちろん微粉も取り除くことが可能。

SIFTERはフィルターを揃えれば、自在に粒度を操れる。

「もっとこんな風味を表現したい。」

コーヒー一杯に情熱を注いでいる人や熱心なコーヒーラバーにとっては面白いツールだ。

(おまけ)コーヒーを抽出して飲み比べてみる

SIFTERを使って1100μm~350μmの粉を取り出した。大きすぎる粉や細かい微粉を取り除いた粒度分布が優秀な場合にどんな味わいになるのか確認する。それと、SIFTERを使用せずに抽出したコーヒーについても味を比較してみる。

使用ミルはコマンダンテ。豆は中煎りのブレンドで明るい酸と穏やかな苦みがあるものを。

右がSIFTERを使用しているもの。

色が違うように見えるけど同じ豆。おそらくSIFTERによってチャフが取り除かれてるのかなと。

実際に目視するとわかりやすいんだけど、粒度分布がSIFTERありなしでかなり違う。チャフのあるなしで若干強調されている気もするけどね。

ちなみに、今回は14gの粉を使用してコーヒーを抽出するんだけど、SIFTERを使用していない方は1100μm以上の粉がおよそ6gほど、350μm以下の粉が0.5g弱、残りが1100μm~350μmの粉という内訳だ。

同じレシピでコーヒーを抽出したんだけど、明確に風味に差が出た。

SIFTERを使用した方は、酸味がかなり控えめで苦みが強調された味わい。ボディが重めで後味はしっとりと余韻が長く感じられた。SIFTERなしのときに感じられた明るい酸味や軽い口当たりは鳴りを潜めて、苦味と甘みが強調された印象かな。統一感の感じられる味わい。

失敗かな、と思ったことがあって、、、。

重い口当たりに関しては、おそらく濃度が高くなってしまったのかなと。SIFTERを使用したことで私がいつもコーヒーを抽出しているレシピの時と比べて粒度分布が細かめになっている。だから、濃度が上昇し味わいが全体的に重くなったのかなと。

改めて粒度の違いで風味に大きな変化が現れることを実感した。

SIFTERのように詳細に粒度を選別できるツールがあれば、味わいの表現の幅が広がるだろうと思う。

最高の一杯を淹れたい人にとっては面白いツールだ。

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