『検証』コーヒー抽出時の温度と濃度の関係

コーヒーショップやバリスタさんによって、コーヒー抽出時の温度に違いがある。

というのも、抽出する際のお湯の温度によって味わいに変化を加えることができるから。

簡単に話すと「温度が高いほどコーヒーの成分がよく抽出される」というもの。

言葉では理解していても実際に自ら試したことがなかった。

ということで、今回は濃度計を用いて抽出時の温度の違いでどれくらい濃度に影響を与えるのかを定量的に検証しようと思う。

コーヒーの味わいを変える要因についての理解を深めれば、「もっとこんな味にしたいな」と思った時、レシピをどう変化させればいいのかがわかるようになる。

美味しい一杯のコーヒーを楽しむために、参考になると嬉しい。

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コーヒーの味を左右する要因 「温度」

初めにコーヒーの味を左右する要因について簡単にまとめる。

味を決める要素は大まかに6つ。

  • 焙煎度
  • メッシュ
  • 粉の分量
  • 湯温
  • 抽出時間
  • 抽出量

このほか、ハンドドリップで淹れるならお湯を注ぐ勢いや何回に分けて抽出するのか、などでも微妙に味は変わると言われている。

この中で今回検証するのは湯温

ネットで「コーヒー 濃度 温度」と調べればコーヒ抽出時の湯温が高いほど成分の移動量が多くなることが記されている。

つまり、今回の検証で得られる結果はおそらく「温度が上がるにつれてコーヒーの濃度も上がる」という結果。

とはいえ、私は自分自身でやってみたいと思ってしまう性質なので複数の温度で試してみて、濃度にどんな変化があるのかを濃度計を用いて定量的に検証していく。

コーヒーの濃度と抽出時の温度の関係が理解できれば、「もっとボディのあるコーヒーにしたい」とか「もっとクリアなコーヒーにしたい」と思った時、どうすれば実現できるのかがわかって風味をコントロールする助けになる。

検証に入る前に、湯温の違いでコーヒーの濃度・味にどんな変化があるのかをパッと調べたので、押さえておきたいポイントを載せておく。

  • 湯温が高いほど成分の抽出量が上がる
  • 温度が高いと苦味が出やすくなる
  • 温度が低いと苦味が出にくい(酸味が際立つ)

この辺り、実際どうなのかを検証していく。

検証の方法と条件

今回は「温度」と「濃度」の関係を検証するので、その他のコーヒーの味を左右する要因の条件は固定して、目的要素以外での濃度のブレを極力避ける必要がある。

例えば、今回のように「温度と濃度」の関係を知りたいのに、1回目の検証では抽出時間2分、2回目は3分で検証して濃度に違いがあっても、その結果が「温度」によってもたらされたのか「抽出時間」によってもたらされた結果なのかが不明になってしまうから。

だから「温度」以外の条件はできる限り固定する必要がある。

検証の方法・条件は以下のようにした。

固定する要因
✓焙煎度    :中煎り(ブラジルナチュラル)
✓メッシュ   :Cores c330の6メモリ
✓粉の分量   :16g
✓抽出時間   :4分
✓湯量     :240g
✓使用する水  :水道水
✓使用する濃度計:ATAGO PAL-COFFEE(TDS)
✓抽出方法   :フレンチプレス/抽出後ペーパーを介して微分を取り除く

変化させる要因
✓温度:60℃、80℃、95℃、100℃

上記の条件で「温度と濃度」の検証を行っていく。

また、味がブレる要因が少ないフレンチプレスでコーヒーを抽出する。

私自身がよく行うハンドドリップで検証したいところだけど、理由はすでに記述したように味がブレる要因はできる限り排除したいので今回は断念。

また、グラインダーは一度挽くたびに簡単に掃除してグラインダー内に残った微粉などは取り除くようにする。

続いてコーヒーの抽出レシピ。

STEP
フレンチプレスにお湯を入れて温める
STEP
粉16 gを投入し、100 gのお湯を注ぐ
STEP
スプーンで攪拌して粉全体がお湯に触れるようにする
STEP
注ぎは始めてから30秒経過したら、お湯140 g注ぐ
STEP
注ぎ始めてから4分経過したらプランジャーを静かに押し下げる
STEP
抽出液をペーパーフィルターに注いで微粉を取り除く

抽出したら、濃度を計測する。

抽出液を攪拌して濃度を均一にした後、濃度計にセット。

濃度計の温度機能で16.5℃時点での濃度を記録する。

検証結果

結果は以下の通り。

各温度で2回ずつしか計測していないのでスモールサンプルだけど、抽出時の温度が高いほど抽出されたコーヒーの濃度は高くなった。

また、各温度で抽出したコーヒーを飲んでみて感じたことはこんな感じ。

抽出温度が低いと酸味>苦味となって、温度が高くなるにつれ酸味<苦味になっていった。

コーヒーの酸味成分は温度が低くても抽出されるけど、苦味成分は温度がある程度高くないと抽出されないということになる。

以上のことを踏まえて考えると、コーヒーの味を軽やかにしたいなら抽出温度を低めに、重くしたいなら抽出温度を高くすればコーヒーの味に変化を加えられることになる。

とはいえ、温度が低すぎると成分が十分に抽出されていない状態「未抽出」となり、高すぎると雑味が混じってしまう状態「過抽出」になるから注意。

余談だけど、ネットや本でコーヒーの抽出方法について調べてみると「浅煎りは高温、深煎りは低温」と書かれているのを目にする。

コーヒー豆は焙煎が進んでいくと、成分にも変化があるわけだけど「中煎りの苦味」と「深煎りの苦味」には溶け出しやすい温度に違いがあるんじゃないかと考えられてる。

「コーヒーの科学」という本に書かれているんだけど、苦味成分の中にも常温で溶け出すものと高温でないと溶け出しにくいものがあって、それら成分の構成比の違いが「浅煎りは高温、深煎りは低温」という抽出法に関係しているのでは?というもの。

少し専門的な内容だけど、コーヒー好きな人は「コーヒーの科学」を手に取って見てほしい。

最後に

今回は、コーヒー抽出時の温度と濃度の関係について検証した。

簡単にまとめると、

検証の結果から、抽出時の温度が高いほど成分の総量が多くなり濃度感のある味に仕上がる。

また、温度が高くなるほど苦みが増して酸味が少なくなる。

自分好みなコーヒーを淹れる参考になれば嬉しい。

ぜひ色々試してみて。

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