『検証』コーヒー抽出時の抽出量と濃度の関係

コーヒーの味を変える要因はたくさんあって、すでにいくつか過去の記事で紹介してきた。

今回は「抽出量」にフォーカスを当てて検証していく。

私は、自宅でコーヒーを淹れている人は「抽出量」を大雑把に淹れている人が意外にも多いのかなと思ってる。

例えばコーヒーサーバーの目盛りで抽出量を把握するとか。

スケールを使わないとコーヒーを抽出するたびに抽出量に若干のズレが出てきてしまうのは事実。

その若干のズレはコーヒーの濃度にどの程度影響しているのだろうか。

ということで、今回は抽出量の違いで濃度にどれくらい変化があるのかを濃度計を用いて検証していく。

抽出量の違いでどれくらい濃度が変化するのかがわかれば、「濃くしたい」「もう少し飲みやすくしたい」、そう思ったときの物差しになると思う。

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抽出量と濃度の実験

さっそく抽出量の違いで濃度にどれくらい変化があるのかを実験していく。

「抽出量と濃度」の関係性を検証するので、使用するコーヒー豆や挽き目、抽出時間などの「抽出量」以外の濃度に影響を与える要因は実験毎にブレないように固定する。

ここがブレるようだと「抽出量が変わったから濃度が変化した」とはいえなくなってしまうから。

それと、再現性に乏しいハンドドリップではなく、安定して同じ条件で抽出できるフレンチプレスを採用することで実験の再現性を高める。

実験の条件

固定する要因

使用する豆ブラジル(中深煎り)
粉の量10 g
挽き目中挽き(Comandante – 35 クリック)
抽出時間4分
湯温95℃
使用する水水道水
濃度計ATAGO PAL-COFFEE(TDS)
抽出方法フレンチプレス

変化させる要因

湯量130 g、140 g、150 g、160 g

抽出レシピ

STEP
フレンチプレスにお湯を注いで温める
STEP
粉を入れて規定量のお湯を注ぐ
STEP
スプーンで軽くかき混ぜて粉全体をお湯になじませる
STEP
注ぎ始めて4分経過したらプランジャーを押し下げる
STEP
抽出液をペーパーフィルターに注いで微粉を取り除く(濃度を正確に計測するため)
STEP
濃度計の温度表示で 16.0℃ 時点の濃度を記録する

実験結果は以下の通り。

見ての通り、きれいなグラフになった。

抽出量が多くなるほどグラフは右肩下がりに、つまりは濃度が下がっていく結果となった。

ということは味を濃くしたければ抽出量を少なく、反対に薄くしたければ抽出量を増やせばいいということになる。

ただ今回の実験は、単純に「お湯の量を多くしたら濃度が薄くなった」ということが知りたいのではなく、どれくらいお湯の量が増減すると味が変わったと感じるのかが個人的に知りたかった。

たった10mlの抽出量の違いで味の感じ方が変わるとしたら、コーヒーサーバーの目盛りで大雑把に抽出量を把握するのではなく、スケールで定量的に抽出量を計測しないと毎回飲むコーヒーの味にブレが出てしまう。

ということで実際に飲み比べてみたんだけど、10ml抽出量が増減するだけでコーヒーの味の違いが感じられた。

もちろん感じ方はその日の体調だったり、人それぞれで個人差があるからその点は留意してほしい。

とはいえ、たった10mlお湯の量が増減するだけでコーヒーの味に違いが感じられたし、実際に濃度計の数値でも差が表れているからスケールを使ってコーヒーを抽出することの重要性を改めて感じた。

美味しいコーヒーを淹れるために大切なことは量ることなんだなーと。

それに、スケールを使ってコーヒーを抽出すれば「美味しい」と思えたコーヒーの抽出方法を数値で把握することができるから、自分好みなコーヒーの抽出レシピが出来上がっていく。

ぜひともスケールを用いて美味しいコーヒーを抽出してほしい。

実験結果から気になったこと

個人的に気になったのは、抽出量が少ない時(130mlと140ml)は濃度に差が大きく出るけど、抽出量が多くなると(150mlと160ml)濃度に差がそれほどでないこと。

抽出量が少なくなるほど(粉量と抽出量の比率差が小さいほど)濃度に与える影響は大きくなるのだろうか。

今回は130ml-160mlでの濃度を調べてみたけど、もっと少ない抽出量も調べてみるとこんな感じになるのかな。

もしそうだとしたら、抽出量(粉量と抽出量の比率差)が少ない時ほどスケールの重要性が増すことになる。

ほんの10ml抽出量が変わるだけで濃度が大きく変化することになるから。

急冷式のアイスコーヒーを抽出するときは抽出量が少なくなるから、10mlの差で濃度に大きな差が出るなら興味深いなーなんて思う。

ただ、これに関しては今回の実験でのサンプル数が少ないこと、微粉などの影響で実験条件が必ずしも一緒ではないことが考えられるから何とも言えない。

これ以上は個人で実験するには大変すぎるし、コーヒー豆の消費量が多くてもったいなく感じる。

だから、今回の実験に関しては「10ml抽出量が増減するだけで、コーヒーの味の感じ方は変わる」という結果で良しとする。

最後に

自宅でコーヒーを淹れるとき、スケールを使わずに「だいたいこれくらいかな」と大雑把にコーヒーを抽出する人が意外と多いのかな、と思い濃度と抽出量の関係を実験してみた。

コーヒーを淹れるとき、量ることはとても重要で、今回の「抽出量」だけでなく「抽出時間」や「粉の量」など美味しいコーヒーを淹れるためにはスケールは大活躍する。

それに、スケールを使って数値化することで自分好みな味に微調整していくことができるから、ぜひスケールを使ってほしい。

他にもコーヒーの味を変える要因について記事を書いてるのでよければ。

それでは。

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